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飛距離と角度

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2024.05.19
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2008.11.19
名前変換無しのブログ用王様連載【call a name】09話です。
隠してあるので読みたい方は「つづきを読む」で開いてください。

今回の話しで結ばれますが、次の10話で完結になります。

 

 


call a name 09

 

 

つまり・・・?
”どこかで輪廻の輪がずれてしまったようです。
 先に生まれてしまったあなたをファラオと同い年にしたのは私のワガママなのですが、
 そうでもしなければきっとあなたは危機感を覚えずに、
 私の願いも受け入れなかったことでしょう”
た、確かに・・・。
ただ声が聞こえただけなら、気のせいだと思って忘れてしまっていたかもしれない。
そして部屋に残した天使のデッキ。
私とファラオ・・・もう一人の武藤君を見守るために魂の一部をカードにした。
結局、大昔の恋愛に巻き込まれたってこと?
「な、なにそれ・・・」
過去のアテナがファラオと結ばれたいがために、こんなことをしたんだ。
未来で幸せになろうと約束をして、それを叶えるために。
じゃあ、私がここまで悩んでたのは何だったの?
「あなたがファラオと幸せになれば、それでいいんだよね?」
”いいえ”
「?   だって、約束したんでしょ?」
過去のアテナは悲しげな表情が薄らぎ、徐々に優しい笑顔になる。
”私は魂の一部で、いずれ時間が経てば消えてしまいます。
 魂は輪廻転生を繰り返し、ファラオの蘇るこの時代に生を受けた。
 私はあなたであり、あなたはアテナでもある”
私がアテナ・・・?
だってあれはカードの話しであって、現実でそんな・・・。
私ははっとして隣で腕を掴むもう一人の武藤君を見上げた。
現実なんだ・・・。
ファラオはこうして蘇って、過去の無くした記憶を取り戻そうとしている。
それは現実で嘘じゃない。
だとしたら、どうなるの?
「つまり、俺とアテナが結ばれるのは約束があったからだと?」
”約束があったから、と言いたいところですが・・・。
 約束はきっかけにすぎません、結果は・・・未来を決める権利は私には無いですから”
でも・・・と小さく呟いた過去のアテナは、
目の前に居るもう一人の武藤君を慈しく見つめて。
”あなたに会えて、良かった・・・”
足元から薄らぐ過去のアテナ、掛ける言葉も見つけられず、
引き止めようにも姿が時間と共に消えていってしまった。
「・・・」
その笑顔を、私は忘れない。
きっともう一人の武藤君だって同じだ。
3000年も前の約束を果たそうと、現代の私まで巻き込んで・・・。
そこまでしてでも彼と結ばれたかったのだろう。
その気持ちは分からなくも無い。
「アテナ・・・?」
「へ?」
ちょっと動揺している彼の声に気付いて振り向くと、
彼は驚いて私を頭からつま先まで視線を上下する。
そして気付いた。
服がちょうどいい・・・。
「ぎゃああああっ!!!」
私の身体が元に戻ってる!!!
焦った私は思いっきり彼の顔を手で方向を変えて、思わず叫ぶ。
「見ないで!絶対見ないで!!」
「み、見ないのは構わないが・・・」
押さえつけた手が握られて外される。
「見ないでよ!!」
「本当に、元に戻ったのか?」
「戻ったよ!だから見ないで!!」
「・・・なんで?」
なんでって、そんなの分かりきってるでしょ!!
私が見るなと何度も言ったので、彼は顔を背けながら。
だってさぁ、化粧が薄いし、体型だって元に戻ったし。
25歳の私は見られたくない!!
辺りが暗くて助かるけど、こんな至近距離じゃ私が耐えられない。
「いいだろ、見たって」
「ダメだって!」
「どんな姿でも・・・アテナはアテナだ」
頭の中が真っ白になった。
何も考えられない。
そんな口説き文句、今まで言われたことがないから。
私・・・。
どうしよう、どうしよう。
「俺はどんな姿になっても、アテナのことが・・・」
ゆっくりと私を見つめる彼の瞳、苦手だと思っていたのは、私も同じ気持ちだったから、
知られたくないと思って居たからなんだ。
「私・・・」
「何も言うな」
近づいてくる距離、このままじゃきっと・・・。
「待って!!」
「・・・?」
心の準備が・・・。
素直に受け入れることは簡単だ、すごく嬉しいし、だけど・・・。
「私が強くなったら返事をするから」
デュエルも、心も。
だから、それまで待って欲しい。
「じゃあ今から特訓だな」
「え?」
「ちょうど明日は休みだ、このままどこかでデュエルしよう」
「え・・・」
「差し支えなければアテナの部屋で・・・その前に」
「?」
近づいた距離、彼の吐息すら感じることができるこの距離で。
「あなたの名前を教えて欲しい」
あ・・・。
そう言えば教えてなかった。
「私も、あなたの名前を教えて欲しい」
彼には名前が無い。
私はただ隠していただけで。
だから・・・。
あなたの名前を教えてくれたら、私も答えてあげる。

 


心の底から何かを知りたいと思ったのは、初めてだった。

 

 

 

続く・・・

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